★ 労働問題Q&A ★
T 労働問題Q&A |
1、退職と指導員資格 |
問い 退職届を出すと指導員資格を返すか、取得費用を払えと言われましたが会社の言っていることが正しいのでしょうか |
回答 指導員資格の取得は、指導員としての業務を遂行するために必要な資格であり、業務命令によって取得するものですから、会社が経費を払うのが当然であり、退職の際に指導員資格取得にかかった費用や取得までの間の賃金等を返還する必要はありません。なお、指導員資格は個人に与えられるものですから、退職に伴い返却する必要はありません。 |
問い 現在働いている教習所は賃金が安く、毎日の残業も強制されるのが嫌で退職したいのですが、いつでも退職できるのでしょうか。 |
回答 まず労働契約の中身が問題になります。雇用期間の定めのない契約であれば、労働者の都合で「いつでも退職する」ことが出来ます。この場合でも、「今日、退職届を出して明日退職」というのでは、「貴方の代わりの人間を手当てできない」場合、会社から損害賠償を請求される場合もあると思いますので、退職希望日の1カ月程度前に届を出すのが良いと思います。 有期雇用契約(1年〜3年の契約等)の場合は、契約期間終了まで貴方の都合だけで自由に退職することは出来ません。健康問題、家庭問題等がある場合でも、会社の同意なしに貴方が一方的に退職してしまうと損害賠償を請求される場合もあります。 |
問い 労働基準法16条に「賠償予定の禁止」がありますから、会社が損害賠償を請求することは出来ないのではありませんか。 |
回答 労働基準法16条は「労働契約不履行の際の違約金を定めたり、損害賠償額を予定する契約」をしてはならないと定めています。この条文は、違約金を定めたり損害賠償額を予定する契約を禁止しているもので、債務不履行や不法行為を認めるものではありません。従って、労働者の側に不法行為があれば損害賠償を請求されることになります。賠償金額を巡って裁判になることもあります。 |
2、インターバルには何をすればいいの |
問い 教習と教習の間のインターバルは労働時間になりますか。 |
回答 教習所のインターバルは、「次の教習に備えた準備時間」ですから、労働時間になります。 |
問い インターバルの中で、教習生に予約希望の電話をかけることが義務付けられていますが、問題はないのでしょうか。 |
回答 警察庁の見解は「次の教習に備えた準備時間」です。準備時間の中身は、50分の教習後の講評、次の教習の導入、ハンドル等車両の清掃、指導員の生理的欲求等を済ませるためのものです。これらの準備に支障があったり、電話が長引いて導入に支障が出たり教習時間に欠略があれば問題になります。また、10分の間に講評・導入、清掃をやれば電話をしている時間はないはずです。 |
3、昼休みは自由時間 |
問い 昼休みに教習生との予約電話をやるのはどう考えればよいでしょうか |
回答 昼休みは、会社の業務命令から解放され、労働者が自由に使える時間ですから、業務命令としてやらせることは出来ません。やらせていれば労働基準法違反になります。会社は、貴方が自主的にやっていると主張するでしょうから、労働者がまとまって拒否しないと解決しないと思います。 |
4、ボーナスの査定は自由ですか |
問い ボーナスに「教習生を紹介入所させた人数」による査定がありますが、違法ではありませんか。 |
回答 ただちに違法と言うことは出来ません。就業規則には、「年2回ボーナスを払う」等の規定はあると思いますが、賃金のように「金額についての規程」はありません。簡単にいえばボーナスは「会社が勝手に決めて支給出来る」と同時に、どのように査定するかも会社の裁量が許されています。 |
問い それではボーナスの金額や査定は会社の自由にして良いのですか。 |
回答 その通りです。それが不満であれば労働組合を作り、労働者代表が会社と団体交渉を行うしか労働者の希望を伝える手段はありません。会社は、そうならないようにボーナスの査定を使って「会社の言いなりになる」労働者を作って、労働者が団結することを妨害しているのです。 |
5、賃金の銀行振り込みを拒否できますか |
問い 賃金やボーナスは、銀行振り込みにしなければいけないのでしょうか。 |
回答 労働者個人が同意しなければ銀行その他の金融機関へ振り込むことは出来ません。同意にあたって、労働者は特定の銀行や金融機関を指定することが出来ます。会社が別の銀行や金融機関を指定してきた場合、貴方にとって使い勝手が悪ければ拒否することが出来ます。 |
問い 労働者代表が同意していても個人で拒否することは出来ますか |
回答 もちろん出来ます。労働基準法24条には賃金に関する以下の規定があります。賃金は@通貨で、A直接労働者に、B全額を、C毎月最低1回払い、D一定期日払いというものです。 これを賃金支払いの5原則といいます。 銀行や金融機関を経由することは5原則の「直接労働者に」に反することになりますので、該当労働者個人の同意が必要なのです。 ボーナスも臨時に支払われる賃金ですので、これに該当します。 |
U 労働組合Q&A |
問1、労働組合ってなんですか |
回答 貴方の職場に労働組合はありますか。労働組合は、一人では弱い立場の労働者が団結し、賃金・ボーナスはもとより労働時間(1日の労働時間、年間の労働時間)、残業手当の支給額と計算式(計算分母と割増率)、休日・休暇日数(慶長休暇・年末年始休暇・夏休み)と賃金保障額等、「社会水準の賃金・労働条件」を確保し、皆さんが「労働者が人間らしく生き、誇りを持って働ける」職場を作るために、会社と対等の立場で協議するための組織です。 |
問2、労働者は一人では弱い立場にあるのですか |
回答 貴方が入社した際の面接を思い出してください。貴方は以下のような問いに何と答えていますか。 @賃金はいくらくらいほしいですか、希望額はありますか Aボーナスはいくらほしいですか、希望額はありますか B貴方の希望額は払えませんが入社する気はありますか C支持している政党はありますか D毎日、残業をやってもらいますが協力してもらえますか 貴方は賃金希望額を主張出来ましたか。入社面接で貴方の取った態度が「一人では弱い労働者の立場」を表しています。貴方はこれまでに賃金を一人で会社と交渉したことはありますか。もし、一人で会社に「賃金が低いので上げてほしい、交渉をしたい」と申し入れた場合、会社がどのような態度を取ってくると思いますか。 |
問3、私の勤務する会社は、働く者の立場を理解し黙っていても賃金を上げてくれますがそれでも労働組合は必要ですか |
回答 必要です。黙っていても会社が上げてくれるという賃上げ額はどのように決まっていると思いますか。貴方は、賃金の社会水準についてどのような資料を参考にしていますか。 |
問4、労働組合の必要性をもう少し教えてください |
回答 現在、日本には約4,500万人の労働者がいますが、その約3分の一が派遣社員、1年契約等の非正規雇用(終身雇用以外の労働契約)で働いています。非正規雇用労働者のうち、約1千万人は年収200万円以下で働かされています。200万円以下の労働者が、ワーキングプァー(働く貧困者)という“差別用語”で呼ばれています。 1960年代〜70年代初めまでの日本の労働組合組織率は30%を超えていました。労働組合の力を削ぐために、経営者団体が結束して様々な攻撃(労働組合を分裂させ、会社の言いなりになる労働組合を作るのが中心)を行ってきました。その結果、現在の組織率は13%までに低下しています。組織率が低下したことから、経営者団体の要望を受けた自民党政権によって、禁止されていた有期雇用契約・有料職業紹介業等が合法化されてしまい日本の労働者の貧困化が始まったのです。 皆さんは、自分のお子さんやお孫さんがワーキングプァーになることを希望していますか。1年契約の指導員になって、不安な生活を送ることを希望していますか。労働組合は、労働者にとって無くてはならない組織なのです。 |
問5、賃金・労働条件だけ改善するのが労働組合ですか |
回答 違います。誇りを持って働けれ職場を作ることも大切な活動です。名の売れている会社が、ブラック企業と呼ばれていることをご存知ですか。名前だけ管理職にして残業手当を払わない。残業手当なしに月間100時間もの残業をやらせているだけでなく、有給休暇も取らせないような会社です。 会社に文句を言う労働者や結婚し出産する女性に退職を強要する、猥褻な言葉で嫌がらせをするセクハラ、強圧的な言動で労働者を抑圧するパワハラ等から労働者を守ることも大切な活動です。 |
問6、労働組合が無くなってもいまの権利は守れるのでは |
回答 とんでもない間違いです。東自教の職場には契約指導員はいません。皆さんの職場には契約指導員の方はいますか。1時間1,200円程度の賃金で、働いた時間分だけ賃金を払いうというのが契約指導員の方の基本条件です。退職金や慶弔休暇は無いという話です。しかも1年契約ですから、賃上げを要求すれば、契約更新はなくなるかもしれません。 東自教の支部があればそうはいきません。しかし、東自教が確保している権利は、全国の教習所の常識、世間の常識ではありません。東自教の支部がある職場の常識は未組織職場の常識ではないのです。 労働組合が無くなっても現在の賃金・労働条件、諸権利が守れるという考え方は、「世間から見れば非常識」なことです。会社、経営者はそれぼと人が良くはありません。 |
問7、東自教の組合費はいくらですか |
回答 東自教の組合費(有資格者)は月額4千円、ボーナスからも半期に1万円をいただいています。この金額は「安い」額ではありませんが、要求を実現するための活動や万が一の組合攻撃とたたかう資金を確保するために必要な金額と考えています。何もしない御用組合であれば千円の組合費を払うのも無駄になりますが、東自教の活動を理解していただければ、「少々高くても払う」気になっていただけると確信しています。 |
問8、労働組合の作り方を教えてください |
回答 職場単位の労働組合を結成するには、まず「労働組合が必要だ」と考えている仲間を作ることが必要です。労働組合を必要と考える仲間が複数(最低でも4人〜5人)集まらなければなりません。仲間が集まり、何を目的に労働組合を結成するのかが決まれば集会を開いて結成大会を行い、執行委員長等の役員を選出すれば労働組合が誕生します。そんな簡単にできるのかと不安を感じるかも知れませんが、結成すること自体は簡単なことです。 結成することよりも、結成後の会社の出方が心配なのではありませんか。労働組合のことを良く知らない人たちだけが集まっていても、目的を達成するのは難しいのが現実です。加盟するかどうかは別に、労働組合を結成する意思があれば、まず東自教に相談をしてください。東自教には、長年にわたって労働組合活動をしてきた活動家だけでなくたくさんの顧問弁護団がいます。相談していただけば、結成にあたっての皆さんの不安が多少なりとも解消できると思います。 |
問9、労働組合はありませんが親睦会が会社と話し合って賃上げなどを決めています、親睦会では駄目なのですか |
回答 親睦会には、賃上げやボーナスを会社と話し合い、決まったことを労働協約(書面にする)として結ぶ権限はありません。賃金・労働条件を交渉し、決定事項を労働協約として結ぶことが出来るのは労働組合だけです。親睦会と会社が決めて職場の賃金・労働条件として扱うことは違法なのです。 |
問10、残業協定や変形労働制についても親睦会で会社と協定していますが、これも無効ですか |
回答 キチンとした手続きを行っていなければ無効です。残業協定や変形労働制等、労働基準法の規定に基づく労使協定には、すべて「職場の過半数を代表する者」との協定が必要です。職場の過半数を代表する者が、単純に親睦会代表ということにはなりません。代表を選出するためには、職場の全労働者が集まって、選挙等民主的手続きが必要です。また、その経過を記録しておかなければなりません。この場合の全労働者とは、文字通り契約指導員、パートの方も含まれます。 |